
今日は雨の中出勤。
流石に2日連続休むのは拙いし…。
さて、今日はここ最近通勤の帰りに読んでいた本の紹介。
『共産主義車 ソ連編』(松本京太郎著/合同会社パブリブ刊)
共産趣味インターナショナルシリーズの1巻で、読んで字の如く、ソ連で生産されていた自動車の図鑑です。
日本の自動車雑誌でも時々取り上げられていて、写真と簡単なキャプションで紹介されていた「鉄のカーテン」の向こう側にあるソ連の自動車。
大衆車から党幹部用の高級車と言った普通乗用車だけで無く、海外でそれなりにソ連に外貨を齎したオフロードカー、ソ連では庶民に一番近かった自動車であるトラック、各地で庶民の足となったバスやバンが取り上げられています。
こうした自動車は、西側諸国の場合、寿命が来ると大抵スクラップにされることが多く、会社が倒産してしまうと、写真以外は残っていない事が多いのですが(そう言えば、今日ミレリが倒産しましたね)、ソ連(と言うかその後継国家であるロシアでも)の自動車が大祖国戦争や連邦崩壊、経済破綻を経たにも関わらず、現物が残っていることが多い事が意外でした。
しかも、試作車でもちゃんと残っているのが凄いなと思いましたね。
軍用車の場合は、輸出もされているために様々なところで西側諸国に鹵獲されたりして、ある程度の情報が判っているのですが、民間の車両の場合は国内だけで流通する自動車も多く、情報が中々出て来ません。
見開き2ページ+バリエーションがあれば簡単なキャプションで更に2ページ割いている感じの体裁でありながら、かなりの数の自動車を網羅しているような気がします。
流石に地方の小さな修理工場が手がけた、トラックの車体にバスの車体を架装した物とか、特装車とかの類は余り掲載されていませんが。
デザインに関しては、最初の自動車がフィアットトラックの無断コピーで、その後、フォードからA型を輸入した結果、フォードの亜流の自動車がどんどん出て来ます。
戦後もパッカードスーパーエイトのコピー、賠償としてドイツからふんだくった生産設備その侭で生産したオペルカデットなど、オリジナルのデザインは殆ど出て来ず、常に何かのコピーとかその亜種です。
ただ、そのコピーをした自動車が世に出たら、米国では既にそのデザインが廃れ、最初から陳腐化していると言う問題が出て来るわけで、ロシアアバンギャルドと言うデザインでも先端を行っている国にも関わらず、工業デザインでは余り成果が出ていません。
それにしても、ソ連は流石に官僚国家だけあって、国防省を始めとする様々な省が自動車の製造を手がけています。
例えば、バスの割当が無いから、文化省が映画撮影クルーを送迎するためのバスを自分の工場で作らせるとか、宣伝映画撮影用の自動車をトラックを改造したり乗用車を改造して製作するとか…。
また、共産主義国家を標榜するだけあって、戦争で四肢欠損となった傷病兵の為の自動車も開発して、それは無料で国家から支給されたとか、無駄もありつつも、先進的な試みも行っています。
ただ、品質が全く伴っていなくて、性能が貧弱すぎたらしいですが。
品質が悪いと言う意味では、粛清の共産主義国家らしく、欠陥車を量産したり、国際的な晴れ舞台でトラブルが頻発するところを見せたりした場合、その工場長や技師は左遷されたらまだ良い方で、最悪の場合は刑場の露と消える事もあったりしたそうです。
そんな初めて見る自動車がてんこ盛りの本で、字が小さいなりにびっしりと特徴と書かれているので、理解もし易かったです。
今回が第1弾のソ連編とのことですが、東欧諸国編が次に出るんじゃ無いかなとか思っています。
悩ましいのは中国でしょうね。
何処までを範囲にするのか、今の中国だと結構性能の良い自動車が多数出ていますから。
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